
呼びかけ人・研究者/パラフォト代表
佐々木 延江
よりよい公共スポーツ施設は、誰の言葉でつくられるのか。横浜国際プール再整備計画の情報のあり方を問い直します。
NPOメディア・パラフォト代表。デジタルハリウッド大学大学院で、研究プロジェクト「公共スポーツ施設の再編をめぐる言葉とメディアリテラシー——横浜国際プールを事例として」に取り組んでいます。国内外のパラスポーツを20年以上取材し、地元・横浜ではパラ水泳と、その競技環境を見つめてきました。
きっかけは2024年6月30日。横浜国際プールで開かれた記者会見の取材で、横浜市の「横浜国際プール再整備計画(素案)」にメインプールの廃止が含まれていることを、そこで初めて知りました。
同プールの開業は1998年。スポーツ基本法の制定(2011年)や障害者権利条約の批准(2014年)よりも前から障害のある人を受け入れ、身体・知的・聴覚障害の水泳3団体が全国大会や合宿を重ねてきました。パラリンピック金メダリストの河合純一さんはこの場所を「パラ水泳の聖地」と呼びました。その言葉が定着するだけの時間が、ここには積み重なっています。
なぜ、ここにレガシーが生まれたのか。老朽化した時代遅れの遺物として片づけるのではなく、約30年にわたるインクルーシブ・スポーツ施設の先駆的事例として読み直す。その経験からこそ、未来への課題を導き出せると考えています。
この研究プロジェクトの土台にあるのは、まちのつくられ方を読み解くためのメディアリテラシーの視点です。計画はどのような言葉で市民に示されたのか。その言葉は何を含み、何を含まなかったのか。そして市民は、その言葉を自ら確かめるために何ができるのか。問い直す過程そのものが、市民の学びになると考えています。
あらためて問います。「市民」「スポーツ」という言葉の中に、障害のある人は含まれているでしょうか。2026年7月16日には超党派の「水泳議員連盟」が発足し、水泳というスポーツのあり方が問い直されようとしています。問われているのはプールだけではありません。この計画でいいのか——いままさに、全国で確かめなければならないと思っています。



